PRONG / Ruining Lives

Ruining Lives

Ruining Lives

発売されているのを知らなくて、昨年の後半に慌てて買った1枚。いまだにヘビロテになっています。いやはや、個人的にはPRONGの最高傑作、もしくは『Cleansing』とタメ張るといって差し支えない内容でした。少なくとも復活後の作品の中では最高なことは間違いないです。
まあ、ジャケもフォークの尖った先(prong)で目玉をぶっ刺すという『Cleansing』オマージュなものだし、メンバーも手応えがあるんでしょう。


再始動直後の彼らはまだまだ90年代のヘビーなサウンドを引きずっているような印象で、正直あんまりピンと来なかったんですが、以降リリースを重ねるごとに元々無駄の少なかったそのサウンドのさらなるシェイプアップが進むと同時に、全体的にテンポアップが進んできました。前作あたりで、もうほとんどスラッシュメタルのようなビートと刻みリフを有していましたが、元々彼らはデビュー当時「西のSUICIDAL TENDENCIES、東のPRONG」と称されたハードコア/クロスオーバーの出であるわけで、『Cleansing』でも「Cut-Rate」とかカミソリスラッシュなナンバーがあったし、本来もっていた要素が整理されて出てきたという順当な変化だと思います。


今作はスピードアップに加え、前作あたりで顕著になったメロディーの充実が大変すばらしく、#4とかほんと悶絶します。メロディーといってもメタル的な仰々しかったり雄々しいものじゃなくて、シンプル(メタル的なメロディーを期待していると、人によっては地味に感じるかもしれません)でポップともいえそうなものですが、楽曲の疾走感と演奏の切れと合わさってぐっと来る場面も多し。CARCASSともFOO FIGHTERSともどちらでもツアー一緒に回れそうな、ありそうで意外と他に類を見ないサウンドになりつつある気がします。



かつて血肉としたインダストリアル要素はすっかりなりを潜めましたが、四つ打ちダンスビートにその面影を残してますね。通勤電車で聴いているので低音部分は余りよくわからず、バスドラほんとに四つ打っているのかスネアの音と混じって判然としないのですが、ノリは間違いなくダンスビート。メタリックなリフとダンスビートの組み合わせなんて、彼ら以降にも大量に作られてきたので珍しくも何ともないですが、前述のメロディーが合わさることで何ともいえない高揚感が生まれるので、これは無くして欲しくないなあ。


アルバム全体をみれば、冒頭からザクザクにスラッシーなリフで始まり、かなりアグレッシブな印象を受けるはず。サウンドプロダクションも、最近のメタルに多いコンプかけ過ぎでエッジがとれてしまったような丸いものではなく、すっきりかつ鋭い仕上がりで、この辺もポイント高いです。


3月には早くもカバーアルバム「Songs From The Black Hole」が出るそうなので、来日してくれんかなあ。
しかし、このカバー曲のリストもすごくいい。