CROWBAR / Symmetry in Black

Symmetry in Black

Symmetry in Black


重くてザクザクに切れ味が良いひんやりとした黒い鉄の塊。


ニューオーリンズの激重メタルバンドの10作目。今年で結成25周年になるんですねえ、もう十分ベテランの域に達したかのある彼らですが、まーったくブレることなく、独自の激重ヘビー路線を貫いております。


相変わらずクオリティは高く、スタイルにも大きな変化はありませんが、若干様子が変わってきたような印象も。これまでとにかく密室のような閉塞感を伴っていた音が、相変わらず重々しいものの巨大といってもいいようなスケール感のある音に変わっているように感じます。私はセルフタイトルの 2ndと、98年の5th「Odd Fellows Rest」、2000年の6th「Equilibrium」の3枚しか持っていないので、本作特有の音ではなく、ここ最近はこういう傾向にあるのかもしれません。



この印象ってどこかで同じようなものを感じたことあるなあ、と思い返してみると、METALLICAのブラックアルバムでした。ヘビーなのにものすごく広がりを持った、途方もなく巨大な石造りの大聖堂で鳴っているかのようなあの音。あそこまでではないですが、本作も広がりを感じさせる音が鳴っていると思います。ただその質感は青空的な爽快感を伴うものではなく、日の落ちてひんやりとしたアメリカの荒野を思わせるものですが。
全体的に確実に洗練が進んでいるので、昔の荒々しさや危うさは減退していますが、それを補って余りある音の気持ちよさと楽曲のクオリティのおかげで、個人的には断然名作と判断を下したい一枚です。あと、昔っから彼らのギターサウンドは圧倒的にいい音をしていますが、本作も歪み過ぎず芯があり、肉厚でザクザクで最高ですね。


新作に合わせて改めて昔の音源を聴き直してみると、カークはほんとに稀代のリフマスターですねえ。シンプルなのに、どこか「おお」と思わせるフックを仕込んだしびれるリフにあふれています。本作も、CROWBARの代名詞でもある、6弦をぐうぃーんとチョーキングするあのフレーズを絡めたリフもそこかしこに。彼が抜けたことでDOWNがほんの少し心配になるというのが正直なところです。