LEADFOOT / Take A Look

Take a Look

Take a Look


ノースカロライナの5人組の2nd。黒字にバンドロゴだけという味気ないジャケットで、スリーブを開くとあまり派手ではないお姉ちゃんが胸を丸出しにして座っております。ジャケットのロゴをよく見るとバンド名の中にこの姉ちゃんの写真が張り込んであるのだけど、まあ実に地味な仕掛け。メンバーの写真も大変にイモ臭く垢抜けない。このどうしようもない感じが逆がこのバンドへの信頼感を若干増幅させてくれます。


Vo.のカールとBa.のフィッシャーはCRROSION OF CONFORMITY(以下、C.O.C.)の元メンバー。「Technocacy」発表後にC.O.C.へ加入していて、91年の名盤「Blind」でもプレイしている人たちです。また、G.のグラハムはEARACHEがもっとも尖っていた90年代初期においてもそのカタログ内で異彩を放っていたCONFESSOR(!!)のメンバーで、クリムゾンがEYEHATEGODと泥の中でのたうち回っているような、CONFESSORのあの唯一無二の音作りに深く関わっていた人でもあるそうな。ほんと、このCD買ってから知ってびっくりしました。
ある種のメタルファンが身を乗り出しそうなこのメンツから、かなりヘビーで濃いサウンドが想像されますが、アルバム1曲目から飛び出してくるのは陽気なアメリカンロック。カールの歌はC.O.C.の時よりもはまっていて、正直こっちの方が合っていると思います。ギターはファズではなくオーソドックスな歪みが主体で、リズム的にもどろっとしたストーナーな感覚は薄め。3曲目あたりからペンタトニックのリフが顔を出して、5曲目ではサザンロックらしい哀愁のツインリードも出てくるけど、ボーカルがこのジャンル特有の野太い野郎声ではなく、結構さわやかな声と歌い方なので、全体的には大変聴きやすいサザンロックという印象。売れると判断されたのか日本盤も出ております。


今回調べてみたら、有名なストーナーコンピ「In the Groove, Vol. 1」にも参加していたことを恥ずかしながら初めて知りました。レーベルのThe Music CartelはUSのストーナー・レーベルで、かつてはNEBULAやSHEAVYとかともツアーしていたようだし、音から想像するよりもストーナーシーンに深く関わっていたんですかね。日本盤の解説では「C.O.C.にサザン要素を持ち込んだのは、ひょっとするとペッパーではなく、カールとフィッ シャーかもね」と書いてあるけども、このアルバムからはそこまで濃いサザン要素は感じないので、実際のところどうなのかしら。

MEMBER:
Karl Agell Vocal
Graham Fry Guitar
Scott Little Guitar
Phil Swisher Bass
Tim Haisman Drums


STAFF:
Engineer Monica Swisher; Alan Weatherhead
Personnel Alan Weatherhead - keyboards


SONGS:
1. Redline
2. Loose Cannon
3. Unkind
4. Build In A Day
5. War Against You
6. Take A Look
7. Reapin' Existence
8. Drift
9. Curse The Gods
10. Old West F-over
11. Certain To Be Wrong
12. Blowhole
13. Panic Attack
total: 52 minutes

THE GATES OF SLUMBER / The Wretch

Wretch

Wretch

USインディアナポリスのトリオバンド。なかなかにドゥームなルックスの野郎3人組で、奏でる音楽は正統派のドゥームメタル。不必要に歪んでいない芯のあるギターサウンドとか腰のあるリズム隊の音とか、ブルーズやサザンロック、サイケといったルーツミュージックを先達のドゥームバンドから間接的に取り入れるのでなく、直接食らって血肉にしているのが感じられます。まあ、おっさん臭いと見なされる可能性もあるかもしれないけど。


曲は陰鬱一辺倒ではなくて、ORANGE GOBLIN的なアップテンポあり、叙情的なナンバーありと結構バラエティに富んでいて、もっとヘビーに押せよと感じる人もいるかと思いますが、個人的にはすごく好きです。


彼らはアートワークにストロングスタイルなイラストを使うことが多いけど、今作はArik Roper。SLEEPのDOPESMOKERとかHIGH ON FIRE、BUZZ●OVEN、WEEDEATERなどのアートワークを手がけている人で、最近だとCATHEDRALの最終作もこの人。野性的で獰猛かつ繊細で幻想的な大変良いイラストが多くて個人的には大好きなイラストレーターです(http://www.arikroper.com/art/illustration/)。


MEMBER:
Jason McCash Bass
J. Clyde Paradis Drums
Karl Simon Guitars, Vocals


Jaime Gomez Arellano Produced and engineered 
Arik Roper Cover art


SONGS:
1. Bastards Born 06:48
2. The Scovrge Ov Drvnkenness 05:58
3. To the Rack with Them 03:15
4. Day of Farewell 07:14
5. Castle of the Devil 07:55
6. Coven of Cain 03:44
7. The Wretch 08:17
8. Iron and Fire 12:44
total: 55:55


THE GATES OF SLUMBER / Coven of Cain

ORCHID / Capricorn

Capricorn

Capricorn

昨今はやりのビンテージハードロックの1つだと思うけど、とにかくサバスからの引用がすごい。リフやメロディラインなどかなりあからさまで、多少 サバスを聴いたことがあれば、あの曲のあの部分だなと元ネタを指摘するのは簡単だと思う。ここまでいくとやり過ぎにも感じそうだけど、曲がすばらしくキャッチーで出来が良いのでつい聴いてしまい、「引用」については個人的には悪い印象はもちませんでした。Voは声がオジーに似てはいるものの、力み気味に歌いあげるタイプで、どちらかといえばロニーやクリス・コーネルに近い歌唱で、これがかなりカリスマ的な魅力を放っております。演奏は取り立ててはっとするような部分はないけど、Youtubeで見る限りライブもまあまあ安定しているみたい。


サバスに影響を受けたメタルということで、ドゥームといえばドゥームなのかもしれないけど、サウンドプロダクションはビンテージっぽくカビ臭い70s風で、そんなにヘビーではないのでキャッチー、コンパクト、音も聴きやすい、と大変ポップなバンドでもあります。PVでみるとメンバーのたたずまいも良い雰囲気で(特にベース)、今後サバスの引用から離れた時にもっと良いバンドになりそうで楽しみ。

MEMBER:
Keith Nickel Bass
Carter Kennedy Drums, Percussion
Mark Thomas Baker Guitars, Synthesizer
Theo Mindell Vocals, Percussion, Synthesizer


Theo Mindell Producer, Mixing, Booklet Paintings
Justin Weis Mastering


SONGS:
1. Eyes Behind the Wall 07:13
2. Capricorn 04:40
3. Black Funeral 06:28
4. Masters of It All 06:37
5. Down into the Earth 06:24
6. He Who Walks Alone 06:49
7. Cosmonaut of Three 05:44
8. Electric Father 07:19
9. Albatross 05:54
total: 57:08


Orchid - Capricorn - (Official)

SPIRITUAL BEGGARS / Spiritual Beggars

スピリチュアル・ベガーズ

スピリチュアル・ベガーズ


当時CARCASS好きのキッズだった私が、アモットのニューバンドときいて何も考えず購入した1枚。グランジ旋風と70年代ロックのブームをすでに受けていて、SOUNDGARDENALICE IN CHAINSBLACK SABBATHとかMOUNTAINとかも好きだった当時の自分の好みのど真ん中を打ち抜いてくれました。


いまや現代メタル界の中心的な存在というべき洗練されたバンドになっちゃったけども、この1stでは音も演奏も荒く、プリミティブ。それがオールドスクールなバンドのスタイルにピッタリあっていて、アルバムの魅力を何倍にもしています。リフやボーカル、リードギターにもアモット先生らしいメロディはほとんど出てこないし、全体的に地味ではあるけども、このできたてほやほやの熱さは何にも代え難い。
メタルの歴史って、こういうごつごつしたハードロックから余分なものをそぎ落として洗練させていく歴史でもあったかと思いますが、SPIRITUAL BEGGARSはこの1st以降その歴史をそのままなぞっていくことになります。自分の好みとしては、名盤といわれる3枚目までが限界で、それ以降は洗練されすぎて駄目でした。以降のアルバムもすばらしいと思うけど、この1stに惚れ込んでしまったせいで客観的に聴けないのは少し残念です。


私が持っているのはトイズファクトリーが出した日本盤で、#7〜10がボーナストラックとして追加されているやつです。再発された現行のものと同じはず。Spiceは#1〜6ではボーカルだけだけですが、#7〜10ではベースも弾いとります。7,9,10は2ndにも収録されているものの、テイクが違ってこちらの方が荒いが、やはり熱くておすすめ。#7は名曲だとおもう。


MEMBER:
Michael Amott Guitars
Ludwig Witt Drums
Spice Vocals, Guitar, (Bass #7-10)


SONGS:
1. Yearly Dying 03:56
2. Pelekas 04:12
3. The Space Inbetween 03:57
4. If This Is All 04:46
5. Under Silence 03:59
6. Magnificent Obsession 09:11


7. Blind Mountain (4:19)
8. If You Should Leave (4:32)
9. Nowhere to Go (6:00)
10. Sour Stains (5:00)

SPIRITUAL BEGGARS / Blind Mountain

CORROSION OF CONFORMITY / Deliverance

Deliverance

Deliverance


高校の頃、ストーナー近辺が好きになるきっかけを作ってくれたアルバムで、思い入れありすぎの1枚。クロスオーバー、要するにハードコア側から来た人たちで、昔はスタスタと突っ走る直線的なスタイルだったのですが、Pepper Keenanが加入後、3rdにあたる「BLIND」(1992年)で元々持っていたサバスの影響を前面に押し出し、ぐっとヘビーな路線に踏み込みました。その後1枚のEPを経て発表されたのが本作です。

前作に残っていた当時のモダンなスラッシュの匂い(METALLICAのブラックアルバムあたりの音)を完全に脱ぎ捨て、サバスを中心にサザンロックやブルーズなどのオールドスクールロックの要素をこれまで培ったハードコアの精神で現代的に料理することに成功した名盤です。このアルバム以降はヘビーさをキープしつつ、よりアメリカンロックに近づいていくので、C.O.Cのなかで一番サイケでストーンなアルバムかもしれません。#4, 7, 9, 11, 13と インストを挟んだり、#3や8でツインリードを聴かせたりと楽曲の幅も広く、新作で彼らを知り、Pepper在籍時のアルバムをさかのぼろうと思う方にはこれから入るのが一番良いのではないかと。
 
ちょうど同じ1994年には、SOUNDGRDENの「Superunknown」、KYUSSの「Welcome to the sky valley」と、本作と同じようにオールドスクールなロックを現代的に料理することに成功して、新しい音を鳴らした名盤が出ていますが、この2枚に比べると「Deliverance」の世間的な評価はかなり低いような気もします。まあ、この2枚に並ぶとはいわないまでも、近い位置に置かれるくらいの評価はされてまったく問題ないくらいに充実しております。SOUNDGARDENやKYUSSのどちらとも異なる、汗と泥の匂い漂う男臭い音はMETALLICAが惚れ込んでしまったのもうなずけるというもので、もうちょっと評価されてもいいのになあ。

MEMBER:
Pepper Keenan Guitars, Vocals
Reed Mullin Drums
Mike Dean Bass
Woody Weatherman Guitars


STAFF:
Richard Mouser Mixing #6, Additional mixing #10
Toby Wright Mixing
Mark Richardson Engineering
Jeff Tomei Engineering
John Custer Producer, Engineering, Mixing #4, 7, 9, 11, 13
Bob Ludwig Mastering


SONGS:
1.Heaven's Not Overflowing 05:02
2.Albatross 05:20
3.Clean My Wounds 03:32
4.Without Wings 01:54
5.Broken Man 04:54
6.Señor Limpio 03:53
7.Mano de Mono 01:35
8.Seven Days 04:56
9.#2121313 01:02
10.My Grain 03:19
11.Deliverance 04:23
12.Shake Like You 04:19
13. Shelter 03:25
14.Pearls Before Swine 06:45
total: 54:19




PVとかアートワークの雰囲気もよいです。